パブリッシャーと広告主が次世代AIの導入で成功する方法

AIの存在は特別なものではなくなり、生成プラットフォームやチャットボットの利用が一般化するにつれ、パブリッシャーや広告主はこうしたテクノロジーを戦略的にビジネスに取り入れる方法を模索しはじめています。AIが作成するアウトプットにバイアスが含まれてしまうという可能性や、生成ツールを倫理的かつ責任を持って使用する方法について懸念があることは確かですが、パブリッシャーや広告主はすでに様々な方法で活用を始めています。 成功を収めている広告主やパブリッシャーは、これらのテクノロジーでできることを学ぶことで、キャンペーンや戦略を強化し、収益改善やユーザーのエンゲージメントを高めることに成功しているのです。

広告主は制作領域でAIを活用 

AIテクノロジーは、広告クリエイティブや見出しの作成に特に役立ちます。しかし、多くの新しいテクノロジーと同様に、学習曲線と適応期間が存在します。

Outbrain のプロダクト担当VP、Lior Charka は以下のように述べています。

「新たなテクノロジーは、通常ある一定の調整を必要とします。例えば、ChatGPTのようなAIシステムは、学習されたデータパターンに基づいて回答を形成します。つまり、最も正確で適切な回答を得るためには、適切なコンテキストで適切なプロンプトを作成する必要があります。これは、この種のAIテクノロジーを扱う際には必須となる、我々全員が習得しなければならないスキルと言えるでしょう。」

Outbrain は2021年から広告クリエイティブにAIテクノロジーを採用しています。広告クリエイティブのバリエーションを拡大すること、そして最もパフォーマンスの良いクリエイティブを特定するために自動化機能を活用しています。Charka は「今日、我々が広告主に提案する自動化された見出しの100%はChatGPTに由来するものです。スピード、拡張性、コスト効率に加えて、手動で作成した見出しよりもクリック率が7.5%高くなっています。」と述べています。

広告主はキャンペーン目標達成に向けた入札自動調整にAIを活用

AIを搭載したソリューションに継続的に投資することで、自動化及び機械学習を活用して、幅広いコンテキスト、興味、エンゲージメントのデータシグナルを引き出し、どの瞬間が最大のインパクトをもたらし、目指すべきマーケティング目標の達成に貢献するかを予測することができます。例えば、クリックやコンバージョンなど、広告主が定義した潜在的な成果の可能性に基づいて、AIにより自動的に入札を上下させることも可能です。

またAIは、広告主がユーザーの過去の行動や活動に基づいて、ユーザーの行動を予測することで、パーソナライズされた関連性の高い広告でユーザーをターゲティングすることができます。これらを組み合わせることで、広告主は広告の掲載面とタイミングを最適化することができるのです。

「Outbrainのダイナミック入札戦略は、独自のパフォーマンス最適化ソリューションであり、キャンペーン目標(セッションごとのページビューやセッション時間を含むエンゲージメントから、目標CPAやROASまで)に応じて広告主の入札を調整します。」とCharkaは述べています。

パブリッシャーは、より魅力的なコンテンツ作成、及びデータに基づく意思決定にAIを活用

パブリッシャーにとって恒常的な課題は、いかに適切なオーディエンスにリーチするか、ということです。そして2024年には、Google Chromeからクッキーが無くなり、プライバシーの制限が更に厳しくなり、オーディエンス属性がさらに細分化され狭まることが予想される中、パブリッシャーはAIソリューションに期待を寄せています。

パブリッシャーの10社中約3社(28%)が、コンテンツやオンライン体験のパーソナライズをAIで行いたいと考えています。パブリッシャーはその特性上、独自にユーザーに対する理解を深めることができるため、AIを使えば、より魅力的な記事や、ユーザーの関心を獲得・維持するための色褪せないコンテンツを書くことが可能になるというわけです。

また、AIを活用したデータドリブンの意思決定機能とカスタマイズにより、ユーザーの滞在時間を伸ばしたり、ユーザーとの関係値から生まれる効果を高めるなど、パブリッシャーはコンテンツの発見を強化し、広告配信を通じた収益化を強化することができます。

「ソーシャル・プラットフォームは、ユーザーごとに毎回異なるコンテンツを紹介することで、膨大なユーザーとエンゲージメントを獲得してきました。私たちは、プレミアムパブリッシャーのお客様のために、このような体験を変革し、パーソナライゼーションをまったく新しいレベルに引き上げました。これは、ユーザーの興味やパブリッシャー自身が目指すKPI(エンゲージメントから収益化まで)に応じて、適切なコンテンツをダイナミックに選択するAIテクノロジーによって可能になったものです。

また、弊社が保有するパブリッシャー向けのビジネス最適化プラットフォーム Keystoneにおいては、パブリッシャーが複数のビジネス目標に向かってうまくバランスをとり、チャンスを最大限生かせるよう、AIが機能しています。」と、Charkaは述べています。

バイアス、プライバシーの安全性、倫理的懸念の中で、ゲートキーパーは人間であるべき

AIは、ユーザーのプライバシーを犠牲にすることなく、ユーザーの読み物の嗜好やコンテキストデータを分析する方法をマーケターに提供することができますが、システムの設定方法によっては、データの分析方法に問題を引き起こす可能性のある固有のバイアスが含まれている可能性も否定できません。

「AIはすでに、デジタル広告にさらなる効率性とパーソナライゼーションをもたらす素晴らしいツールであることが証明されつつありますが、AIツールによってもたらされる成果、すなわちパブリッシャー・広告主の期待値や基準を満たす結果を確実に生み出すためには、より多くの研究開発、より多くの時間、人間のサポートが必要です。つまり、AIが正しい方法で活用されるようにするためには、人間によるレビューが不可欠なのです。」とCharkaは述べています。

同氏によると、この「正しい方法」とは、テクノロジーが倫理的に使用され、テクノロジー内部に存在する可能性のあるバイアスがチェックされていることを確認するために、AIの使用と並行して人間がレビューすることの重要性を指しています。

加えて、AIは他のテクノロジーに比べてプライバシーの安全性が低いと心配する人も少なくないかもしれません。そのような不安を解消するためには、業界標準を遵守し、規制当局や消費者擁護団体と協力するなど、責任ある形でAIを活用しているパートナーと協力していることを確認することが重要です。

そして、AIを使用する際に最も注意すべき点は、キャンペーンのパフォーマンスを綿密に追跡し続けながら、テクノロジーを現在の戦略と融合させることです。AIが今すぐに、これまで人間が行ってきたこと全てを代わって行う、ということは不可能です。AIの可能性を完全に活用するには、改良とさらなる進歩、そして何より人間の協力が重要になります。

広告主やパブリッシャーは、ターゲティング、自動化の導入、eメールのタイトル作成などにAIを活用することで、社内の仕事の効率を高めています。各社がデータプライバシー規制の強化に取り組む中、AIは皆がより多くの情報に基づいた意思決定を行い、ユーザーの心に響くコンテンツを作成するサポートをしています。正直AIに対しては当初、懸念もありましたが、現在、最も成功するマーケティング成果をもたらすプラットフォームを特定するために必要な情報を備えていると言えるでしょう。

*このブログは、2023年9月にOutbrain Inc. からリリースされたものです。