映画「Barbie」からマーケターが学ぶこと

マーケティングチームは常に、注目を集め、オーディエンスを魅了し、ビジネスの成長や成功を促進するための革新的な戦略や戦術を模索しています。しかし、意外なところから貴重な教訓を得られることもあります。

今回は、この夏世界を魅了している映画「Barbie」のアプローチから学び、私たち自身のマーケティング活動で実際に実践できる5つの教訓を探っていきたいと思います。

1. 戦略的なローンチの勢いを最大限に活用する

映画「Baebie」のマーケティングチームは、戦略的なローンチを通じて活動のピークを作り出すことに長けています。つまり、プロダクトの発売やイベント周辺にリソースを集中させ、期待感を高めていき、特別感と興奮を生み出すことで、ターゲットオーディエンスを魅了していくのです。マーケターとしてこの戦略を活用するには、自身のキャンペーンの重要なマイルストーンを明確にし、最大限の注目を集め、話題を生み出す最高の瞬間を作り出すことにリソースを振り分けることが必要です。

プロダクトやキャンペーンのローンチにおけるすべてのマーケティング活動は、説得力のあるストーリーを作り、エンゲージメントを促進することに帰結します。広告、SNSキャンペーン、コンテンツリリースなど、さまざまな要素を戦略的にタイミングよく調整することで、よりメッセージを増幅させ、勢いをつけることができます。このような集中的なアプローチにより、より大きなインパクトを与え、ターゲットオーディエンスがブランド体験に完全に浸ることができる環境を整えるのです。

さらに、限定品などの場合は、発売期間中に限定品であることをアピールすることで、ユーザーに緊急性や特別感を与え、早めに行動を起こすよう促すことができます。「数量限定」、「早期限定アクセス」、「特別プロモーション」など、こうしたアプローチは期待感を高め、ユーザーのブランドへの関与を促進することに繋がります。

戦略的ローンチプランの活用により、マーケターは大きなインパクトを与え、話題を喚起し、有意義な結果を出すチャンスをつかむことができます。重要なことは、綿密に計画すること、チーム一丸となって実行すること、そしてターゲットとなるユーザーの印象に残る忘れられない体験を提供することです。

2. オーディエンスセグメンテーションの力を活用する

映画「Barbie」のプロモーション活動は、子どもだけでなく大人もターゲットとし、両方の年齢層にアピールするコンテンツを通じて、リーチの拡大に成功しています。この戦略的アプローチにより、マーケターは自社のターゲットセグメントを検証し、その取り組みが最も収益性が高く効果的な領域に向けられているかどうかを評価することができます。さまざまなセグメントを理解することで、特定のグループに響くようにマーケティングメッセージや戦略を調整することができ、最終的にはより良い結果を得ることができるというわけです。

ターゲットマーケットにおける主要セグメントを特定することで、セグメントのニーズ、嗜好、行動に対応したカスタマイズされたマーケティングキャンペーンを展開することができます。このパーソナライズされたアプローチにより、適切なメッセージを適切なタイミングで適切な人々に届けることができます。また、オーディエンス内の意思決定者や予算管理者に対する活動にリソースを集中させることができ、取り組み効果を最大化することにも繋がります。

さらに、複数のセグメントに対応するということは、さらなる価値を創造し、顧客満足度を高める機会を提供することにもなります。つまり、さまざまなセグメントに合わせたソリューション、コンテンツ、体験を提供することで、多様な顧客グループに対して、より強いつながりとロイヤリティを育むことができるわけです。

効果的なセグメンテーションの為には、徹底的なリサーチ、データ分析、ユーザー行動を深く理解することが必要です。セグメンテーション戦略を継続的に見直し、洗練させていくことで、進化するマーケットトレンドを先取りし、より効果的にオーディエンスとの関わりを構築し、全体的なマーケティング成果を向上させることができます。

マーケティングのアプローチにセグメンテーションを取り入れることで、特定のセグメントをターゲットにする力を引き出し、パーソナライズされた体験を提供し、最終的にキャンペーンでより大きな成功を収めることができるのです。

3. 魅力的なコンテンツを広く拡散

映画「Barbie」のマーケティングチームは、ユーザーの注目を集め、広く拡散される可能性のあるコンテンツを作成することの重要性を理解しているので、キャンペーンに無限のリソースを注ぎ込む代わりに、革新性と創造性を優先し、コンテンツを際立たせることに注力しました。彼らのアプローチからヒントを得ることで、マーケターは、エンゲージメントと拡散される可能性が最も高いキャンペーンの開発に集中することができ、マーケティング活動のインパクト最大化を実現できるのです。

インターネット上で広く拡散させる為には、ターゲットオーディエンスの会話の話題になりやすく、共感を呼ぶコンテンツを制作することが不可欠です。興味深く、革新的で、普通とは少し違うコンテンツ制作を心がけましょう。ユニークな視点、価値のある洞察、楽しい体験を提供することで、好奇心を刺激し、オーディエンスの注目を集めることができます。

また、コメントやシェアすることを積極的に促すことで、コンテンツが広く拡散されやすくなります。ユーザーと関わり、彼らのコメントに反応し、ブランドを取り巻く「コミュニティ」の感覚を作り出しましょう。ユーザーが作ったコンテンツやインタラクティブな要素も、また別のユーザーの参加やシェアを促すため、キャンペーンが広く拡散されることに貢献します。

ここで1つ大切なことですが、「何かをシェアする」ということは、感情を刺激したり、驚きを与えたり、新たな情報を提供したり、もしくは楽しいと思えるコンテンツがあるからこそ、促進されることを忘れないでください。ユーザーの嗜好、興味、オンライン上での行動を深く理解することは、コンテンツ制作プロセスの指針となり、広く拡散される可能性のあるキャンペーンを作るのに役に立ちます。

マーケターは、魅力的で革新的、そして共有されやすいコンテンツに優先的に取り組むことで、インターネット上で広く拡散されることを強力に後押しし、ブランドのリーチを拡大するとともに、オーガニックなエンゲージメントと認知を強化することができます。ユーザーの会話のきっかけになり、物理的にも目立つコンテンツの制作に戦略的に集中することで、拡散力を活用し、マーケティングキャンペーンで最大の成果を出すことができます。

4. 戦略的アップセルによる価値の最大化

映画「Barbie」は、グッズや追加商品を活用してアップセルの機会を創出しており、もはや映画の枠を超えていると言えます。これは、単なる購入にとどまらず、カスタマージャーニー全体を考えることの重要性を伝える教訓と言えるでしょう。アップセル、または補完的なプロダクトやサービスを提供するチャンスを見極めることは、ユーザーに提供する価値を高め、購入意欲を逃さずに売上をあげるためにとても重要です。

アップセルとは、ユーザーにプロダクトの高価格版やアップグレード版を提供したり、先に購入したプロダクトを補完する追加アイテムの購入を促したりすることです。アップセルを戦略的に実施することで、マーケターは全体的な顧客体験を向上させ、収益を高め、顧客ロイヤルティを強化することができます。

アップセルを効果的に行うには、ユーザーのニーズと嗜好を理解することが不可欠です。ユーザーの興味関心に合致し、真の価値を提供する関連したプロダクトやサービスを特定しましょう。アップセルの利点や付加機能を強調し、それがどのように最初の購入体験を向上させるか、あるいはユーザーが感じている可能性のある追加的なニーズに対応するのかを強調していきましょう。

もうひとつの効果的なアプローチは、関連するプロダクトやサービスを割引価格で組み合わせたパッケージを作ることです。これは、ユーザーが購入体験をアップグレードする動機付けになるだけでなく、パッケージ化することで購入するものの価値も高まり、より魅力的なプロダクト/サービスになります。

さらに、カスタマージャーニー全体を通して、元の購入を強化する補完的なプロダクトやサービスを推奨することにより、マーケターはクロスセルの手法を導入することができます。このように追加オファーの価値やメリットを紹介することで、ユーザーは関連性を理解し、追加購入の可能性が高まっていきます。

アップセル成功の鍵は、ユーザーに真の価値を提供することであることを忘れてはなりません。これまで築いてきた信頼関係を損なうような、過剰で強引な売り込みは避けましょう。その代わりに、ユーザーのニーズを理解し、全体的な体験を向上させるような、適切で有益なアップセルオプションを提供することに集中しましょう。

戦略的なアップセルを実施することで、マーケターは顧客生涯価値を高め、収益成長を促進し、ユーザーとの関係を強化することができます。カスタマージャーニー全体を通じて価値を最大化することで、より包括的で満足度の高い体験を提供しながら、ユーザーが有益な事柄に予算を使うことを促進できるでしょう。

5. 経済が不安定な時期に投資する

経済が不安定な時期には、多くの企業がコスト削減のためにマーケティング活動を縮小する傾向があります。しかし、映画「Barbie」に関わるマーケティングチームは、不安定な時期にこそ投資するという、全く異なるアプローチをとりました。この戦略により、競合他社が撤退する中、現在そして将来的にも、マーケットにおける発言力のシェアを確保することができるのです。

景気後退期には、企業がマーケットシェアを大きく伸ばすチャンスが訪れます。歴史が示しているように、景気後退期は最も億万長者が生まれる時期であり、ビッグブランドや新興企業がマーケット支配力の変化を経験できる時期でもあるのです。このような時期にインパクトのあるキャンペーンに投資し、幅広いオーディエンスにリーチすることで、企業は長期的な成功を収めることができます。

品質が重要であることは間違いありませんが、オーガニックによる成長だけに頼り、ペイドマーケティング活動への投資を怠ると、リーチとインパクトが制限されてしまう可能性があります。Barbieの例で言えば、一流の品質を備えた素晴らしい「Barbie House」を持っていても、訪れる人がほんの一握りであれば十分ではありません。マーケティングキャンペーンに投資することで、より多くのオーディエンスにリーチし、認知度とエンゲージメントを高めることができます。

上述の通り、品質は妥協すべきではありませんが、経済が不安定な時期にあえて戦略的に

マーケティングに資源を配分することで、将来的にベネフィットを得ることができます。つまりそれは、質と量の適切なバランスを見つけることであり、品質の高いオファーが幅広いオーディエンスに届き、期待する結果を生み出すことが確実になります。

景気低迷期にマーケティングに投資することは、マーケットにおける発言力を高め、競争上の優位性を確保するチャンスとなります。幅広いオーディエンスにリーチし、認知度とエンゲージメントを高めることで、企業は長期的な成功を収めることができるわけです。品質が重要であることに変わりはありませんが、上述の通り、オーガニックな成長だけに頼っていては、リーチやインパクトが限定されてしまう可能性がります。経済が不安定な時期にインパクトのあるキャンペーンに戦略的に投資することで、有意義な結果を導き出し、将来の成長のための強固な基盤を築いていきましょう。

*このブログは、2023年7月にOutbrain Inc.から発表されたものを意訳したものです。