プレスリリースの歴史: 新旧の手法から価値を学ぼう

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Sarah Gavin

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プレスリリースは時代遅れで、コンテンツ配信には非効率的な方法だと思っている人は結構いるもの。でも実際のところ、プレスリリースがなくなる兆候は全くありません。
まだまだ重要な情報源として、プレスリリースに依存しているオンラインユーザーは大勢いるのです。

伝統故なのか深い歴史故なのかはともかく、プレスリリースは広報(PR)部門に限らず、他の部署にも使い続けられています。そして今とは違い、且つてはたくさんの様々な種類のプレスリリースが、色々な目的のために使われていました。

しかし、効果的で適切なプレスリリース制作に興味があるなら、その歴史と進化し続けるコンテンツ界の革新について理解しておくべき。あなた次第で様々なツールが使えることも覚えておきましょう。

では、プレスリリース短期集中講座をみていきましょう。

 

プレスリリースの簡単な歴史

プレスリリースの始まりは、1906年に50人以上の犠牲者がでたニュージャージー州の鉄道事故に遡ります。当時、その鉄道はペンシルベニア鉄道が保有していました。

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悲惨な事故を受け、同社の広報だったアイビー・リー氏は、事故の詳細をプレスリリースとして発行。そのリリースは注目を集め、ニューヨーク・タイムズさえも取り上げました。そして噂では、記事はリリースの通りに伝えられたと言われています。

そして、リー氏による声明と新聞によって配信されたものが、最初のプレスリリースのようなものだと信じられているのです。リー氏はその後、プレスリリースに手を加えられそうになったことを告発した時に「基本宣言」を発表。その考えは、ジャーナリスト精神の基本として受け継がれています。

これは秘密報道結社などではありません。我々の仕事は、すべてオープンに行っています。我々が目指すことは、ニュースを提供することで広告代理業務ではありません。もし、プレスリリースを検討しているなら、広告代理店を使うべきではありません。我々にとって重要なのは正確性。あらゆるテーマに関してより詳しい情報が速やかに提供され、事実に基づきしっかりと検証されるために、我々はいかなることも喜んでお手伝いします。配信された情報に関して質問があった際は、その情報発信者が代わりにできる限りの情報を提供いたします。
まとめると、我々の目指すことは、企業や公共機関の代わりとなり、世の中にとって価値があり興味を引くことを、ありのままにそしてオープンに全米のメディアや世の中に配信することなのです。企業や公共機関は、ニュースには取り上げられないような多くの情報を提供していますが、そのようなニュースをありのままに伝えることは、話題を呼ぶためにも重要なこと。私は、記事に関する詳細を送信しその記事を検証している編集者をサポートいたします。編集者の皆様に私の署名がついたリリースに関する詳細情報が届くようにいたしますので、何なりとお申し付けください。

企業の代わりにニュースを配信する、しかもありのままに行うという動きによって、企業ニュースをプレスリリースとして発信する大きな波が生まれたのです。

 

成長するコンテンツ界におけるプレスリリースの革新

様々な方法で電光石火のごとく情報を受け取れる現代において、プレスリリースを最優先の情報元として信頼している人は大勢います。下記の年表を見てみましょう。

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実際のところ、米国新聞協会が公表しているデータによると、50%のアメリカ人はニュースをオンラインの情報から取得しており、ニュースワイヤーから取得しているのは30%強にすぎません。

これは、Googleパンダ4.0とSEO対策として使われてきた被リンクの重要性が落ちたことを考えれば、かなり大きな数字だといえるでしょう。プレスリリースを毛嫌いする人たちにぜひ見せたい、確固たる統計値だといえます。

広報の形が変わりGoogleによる衰退があったにも関わらず、プレスリリースは相変わらずオンラインにおいて興味のわく、新しい情報源として需要の高いものだという証拠といえます。

では、プレスリリースがビジネスで何の役に立つのか、そしてプレスリリースで何ができるのかという内容に移りたいと思います。

プレスリリースの利点とは?

端的な答えは、ターゲットになる消費者や関係者にビジネスに関係する有益な情報を伝えるということです。

ただ、プレスリリースを使えば他にもたくさんのメリットがあります。
・戦略的にキーワードを用いてトラフィックを増やす
・隠しリンクによりページランクを改善する
・ニュースサイトからのトラフィックとリファーラル
・頻繁なインデックスとその分野での権威となる可能性がある
・ソーシャルメディアなどのシェアによる広範囲の露出
・ジャーナリストや関係各所への情報源

これでも、プレスリリースがネット上で大きなインパクトを与えることが信じられませんか?では、どのように任天堂のプレスリリースが、1日で500,000PVを集めることができたのかご紹介いたします。
画像提供:BusinessWire

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プレスリリースへのトラフィックのうち、60%がソーシャルメディアからとなったことで、任天堂は、ユーザーに積極的にしかも上手にシェアしてもらうことができたら、話題やストーリー、そしてアップデートに関する訴求に多大な影響を与えることができると証明ししました。

これでも、あなたが二の足を踏むようであれば、オリジナルの記事を掲載したBusinessWireが、このリリースのおかげで1日のトラフィックが300%も増加したということも付け加えておきましょう。

ワシントン・ポストCNBCといった主たるメディアが取り上げたこと、そしてソーシャルメディアの口コミの力を通じて、このプレスリリースはこれまでの中で最も効果の高かった一つといえるでしょう。もし、プレスリリースがオワコンというのなら、こんな事が起こるわけはないですよね。

優秀なプレスリリースの新要素

上記の例は、プレスリリースがどれほど効果を出せるものなのかを物語っています。
ただ、どんなにプレスリリースの価値を認識していても、おそらくあなたは「どのようにトラフィックを増やしてブランド認知を向上させるようなプレスリリースを作ることができるのか?」と思っていることでしょう。

その答えは「高品質なコンテンツとしてGoogleが求める成功事例を活用する」こと。

タイプは何であれ、優秀なプレスリリースの本質的要素は、そのコンテンツによって読者が最も貴重な体験ができるように共に連携する必要があります。

では、任天堂のプレスリリースがなぜトラフィックを集め、SNSやサーチエンジンに受け入れられたのか説明しましょう。

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タイトルの強さやユニークさで違いが出ることに驚かされます。

任天堂はセールス部門のバイスプレジデントの名前を、笑いのネタとして使用。おふざけで、バウザーという人気のキャラクターと関連付け、ターゲットのど真ん中にいる世界中のビデオゲームファンにだけでなく、実質的にニュースを探しているジャーナリストにもつながったのです。しかも、このリリースには一切手加減はありませんでした。

リンクとリンクの張られたテキストに注目してください。

  • この例を基本とすると、成功するプレスリリースとは以下であるべきです
  • ブランドそのものではなく、ブランドストーリーを優先する
  • 120文字以下(英語)で、興味深く良く練った見出しを用いる
  • ユーザーが求める重要な情報を含む
  • 小見出しは、読者に内容を提供するために使う
  • ブランド名やウェブサイトのためにインプライド・リンクかナチュラルリンクを含める
  • 読みやすさを考慮し、適切に間隔と箇条書きを点を考える

その他の成功事例は、常に、ボイラープレート(企業概要、下記参照)を含め、可能な限りプレスリリースの客観性かつ報道価値を維持し日付を含めること。そして媒体からの問い合わせに対応するため、必ず連絡先を含めます。

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そして、受信者が見出しと最初の段落だけ見て、何に関する話しなのかすぐに理解できる必要があります。但し、こういったサイトは、Googleのパンダアップデート後に85%まで認知度を失ったことは覚えておいてください。

しかしながら、これはターゲットとなるユーザーがあなたのプレスリリースを探していないとか、そういった配信サイトの効果が全然なくなったというわけではありません。ビジネスに最も価値をもたらすと思われるプレスリリースのタイプを決めたら、時間をかけてしっかりと選択肢を検討すれば良いのです。

その他にも下記があります。

 

プレスリリースの3タイプ

プレスリリースの形は1つだけではありません。

オンラインプラットフォームのおかげで、PRの専門家やコンテンツ作成者は、様々な方法でターゲットユーザーにリーチできるようになりました。しかし、膨大なコンテンツ量を考えると、ターゲットユーザーを知ること自体は、それほど必要なことではありません。

ウェブサイトにプレスリリースを掲載し、ブログ記事やソーシャルメディアを経由しビデオ映像を使いインフォグラフィックやオンラインコンテンツのその他の形式を試す…チャンスは無限大といえます。

コンテンツ担当者とPRマネージャーはそれを認識し、下記を利用するべきと言えます。

 

1.伝統的なプレスリリース

今日における伝統的なプレスリリースは、アイビー・リー氏のペンシルベニア鉄道事故に関する発表に最も近く、お知らせというものが中心になっています。

多くの場合は(製品リコールのように)緊急性がある一方で、一般的には新製品発表であったり、イベント、企業の大きな変更が告知されることが多いと言えるでしょう。

こうしたタイプのプレスリリースは、消費者に情報提供し、関係各者に知っておくべき事を伝え事実を公開することが目的となっているため、様々な会社に有益。リリースの形式や構成はそれほど重要ではなく、ブランドの話を補完するニュースの一部として、読み手に伝わるようにすることが大切です。

もし何から始めて良いのか、またGoogleのコンプラインスに準拠しているか自信がない場合は、簡単に安心してそのリリースを作成できるよう、沢山のテンプレートがGoogleにあります。

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そして、リリースをオンライン向けに作成する際は、その内容が世界中の何百万人もの人々にリーチする可能性があることもも知っておくといいでしょう。また、リリースが母国語以外を話す人たちにどのように翻訳(あるいは誤訳)されることも考慮しておきましょう。

 

2.SEOを狙ったプレスリリース

検索エンジン最適化を狙ったプレスリリースは、ユーザーを魅了してオーガニックのトラフィックを増やす目的を除き、伝統的なプレスリリースと似ています。

かつて企業は、検索エンジンのランキングがあまり良くなく改善を必要としていることに気付いた際に、SEOを狙ったプレスリリースを使っていました。ところがお分かりのように、現在では事情が少し異なっています。

しかし、それはSEOを狙うことが無駄なわけではありません。ブランドのリリースは、可能な限り報道価値があり、リリースの目的に対して強い価値があるキーワードを含めたものであるべき。キーワードはプレスリリースのタイトルと文例の中に自然と配置されるべきですが、アンカーテキストを含めるべきではありません。

Googleが今後受け入れない例:
多くの結婚指輪が市場にはあります。もし結婚式を挙げたい思っているなら、最高の指輪を選ぶべき。さらに、お花やウェディングドレスも購入する必要があります。

 

3. ソーシャルメディアに対するプレスリリース

今後はこれこそが、プレスリリースの取り組みにおいて必須となるでしょう。なぜなら、通常のソーシャルメディアの投稿と報道価値のあるブログ記事の完璧な掛け合わせだから。しかも、リンクを貼ることなくオーガニックSEOにも対応します。

任天堂の話に戻りますが、彼らが読者の役に立ちエンゲージメントを獲得するという点で、ソーシャル上でシェアする機会をどのように作ったのか参考にしてみましょう。

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プレスリリースに、リリースに関連する全情報(例えば、より大きなターゲットユーザーと共有したい事柄など)とソーシャル上のユーザーがリリースをシェアするために必要なもの、そしてSNSのシェアボタンが含まれているかチェックしてみましょう。

また、ソーシャルメディアのプレスリリースは、あなたがニュースを再配信してくれることを期待しているジャーナリストのために設計されておらず、その代わりにジャーナリスト、ブロガー、そして消費者をターゲットにしていることを覚えておきましょう。

PRアンダーグラウンドでは、ソーシャルメディアのプレスリリースでユーザーの関心を集めるヒントを次のように挙げています。

  • ターゲットとするマーケット忘れない – 上述のように、ソーシャルメディア上にいる幅広いユーザーに価値のある情報を提供することを意識してください。
  • キーワードを見出しに入れる – リリースに関連した特定のキーワードやフレーズで上位表示させたい時。特にソーシャルメディア上で取り上げられたりユーザーがコンテンツを検索する場合は、キーワードを見出しに入れましょう。
  • 話題をチェックする – GoogleトレンドやGoogleインサイト(FacebookやTwitterのトレンド)のようなツールを使い、オンライン上で起こっている話題をリリースに組み込むようにしましょう。あなたのブランドについての価値ある情報でトレンドランクの上位に来れば、ページビューにも反映されるはずです。
  • リッチメディア – 特にソーシャルメディアにおいて、動画は多くのエンゲージメントを獲得できます。プレスリリースが、シェア好きでそのリリースを関連のあるマルチメディアな人に最適化しているか考えてみましょう。
  • しっかりとしたメタタグを記述 – ユーザーの注目を獲得するには、しっかりとしたメタタグとタイトルを記述することが有効です。FacebookやLinkedInのようなプラットフォーム上でシェアされる際は、ユーザーに本当に見てもらいたいメッセージを確固たるものにし、そういったSNSのプラットフォーム用のメタタグを設定しましょう。
  • 読みやすくする – スペルミス、膨大なテキスト量、大きすぎたり小さすぎるフォントは避けましょう。ヘッダー、サブヘッダー、箇条書き、少ない段落数を備えた適切な形式のコンテンツでユーザーのエンゲージメントを獲得しましょう。
  • 分かりやすい言葉を使う – 専門用語や業界用語を使ってユーザーを制限しないようにしましょう。誰もがすんなり理解できる単語や一般的な語句を使用してください。
  • 簡潔に、そして繰り返す – 今日のPR環境では、コンテンツは閲覧時間が限られるもの。ですから、簡潔なコミュニケーションを何度か行うようにしましょう。

 

具体的な配信方法

環境が変わり、私たちはコンテンツの質を求められるようになってきました。より多く露出するためにこれまで実証されてきた手段では、もはや同じ効果を期待できません。今は、コンテンツとそれがどのように配信されるかを管理することが求められています。

ありがたいことに、Googleは良質なコンテンツが上位に表示されるべく素晴らしい仕事をしてくれています。

他サイトから高品質な関連リンクを得る最良の方法は、インターネットコミュニティで自然と人気を得ることができるようなユニークで関連性の高いコンテンツを作成することです。良質なコンテンツを作成することは、後で自分に返ってきます。リンクは通常、編集者が選択するもの。より多くの有益なコンテンツがあればあるほど、誰かがそのコンテンツをユーザーのために見つけ、リンクを張ってくれるチャンスが広がるのです。

今やるべきことは、自分達に与えられたツールを使うことです。

(Googleのガイドラインに従いコンテンツ改善を行っている)ニュースワイヤーを利用することに加え、ソーシャルメディアは、上記でご覧いただいたように、プレスリリースを一気に高みに押し上げてくれるある種の牽引力となる非常に効果的なチャネルです。

コンテンツを見つけてもらうためのその他の方法には、サードパーティの記事の形にしてソーシャルで話題を作るアーンドメディアへのトラフィック送客も含まれ、CNBCが任天堂のプレスリリースについて書いたものもそれに当たります。

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そして、本当にインパクトを残したいのであれば、予算が限られていても、クリック課金型送客サービスやリターゲッティングを組み込んでみましょう。どんな道を選んだとしても、オプションがあることを覚えておいてください。

プレスリリースの力を活用しよう

古臭い習わしであろうとなかろうと、プレスリリースはいまだに報道機関、検索、およびソーシャルメディアにおいて認知を高める貴重なツールです。

正しく活用された場合、この広報活動の名残りによってブランド、ビジネス、企業について知るべき情報を関係者に提供することができ、サイト全体のトラフィックやエンゲージメントに貢献し、更には先例となることができるのです。

さて、プレスリリースの起源についてお分かりいただけましたでしょうか。オンラインコンテンツの新時代における一貫した進化に乗り遅れないように、この記事からいくつかのヒントや教訓が得られたことを願っています。

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Sarah Gavin

Sarah is Outbrain's European Marketing Director and is responsible for all marketing and communications activity across Outbrain's growing EU territories. Former VP of Marketing & Communications at AOL/The Huffington Post. Sarah was part of AOL’s senior European leadership team and has more than 15 years experience working for some of the world's most reputable companies. Prior to AOL Europe, Sarah was VP Communications International, AOL and a member of Bebo's global leadership team, reporting to CEO, Joanna Shields. In this capacity she was tasked with developing and driving the global corporate/consumer marcoms strategy for the hot youth lifestyle brand alongside AIM, ICQ and number of AOL’s established brands and consumer offerings. Prior to Bebo, Sarah worked for a boutique communications agency where she was part of the management team and headed-up the corporate and B2B division of the company, supporting a wide range of high profile global brands.