対談:アウトブレイン+ゼマンタ「ネイティブ広告のスケール拡大を目指して」

この度、私たちは、世界をリードするネイティブ専用のプログラムDSPであるZemanta(ゼマンタ)の買収を発表しました。ゼマンタはスロベニアのリュブリャナに拠点を置き、米国ではニューヨークとシアトルにオフィスを構えています。

今回の買収によりアウトブレインは、ブランド、代理店からの新しいキャンペーンをネットワーク上に展開するにあたり、Outbrain Programmatic Accessサービス(OPA)にゼマンタの高度なテクノロジーを活用することができるようになりました。本ブログではこの買収が今後どのような未来を描き、両社、そしてネイティブ広告の世界を変えていくのか、アウトブレインの戦略担当上席副社長ギラッド・デ・ブリーズ氏とゼマンタ社のCEO、トッド・サウィッキ氏の対談という形でご紹介させて頂きます。

 

Q1:アウトブレインとゼマンタが一つの会社になるということは、具体的に何を意味するのでしょうか?

アウトブレイン ギラッド・デ・ブリーズ氏(以下ギラッド氏):重要なことは、ディスプレイ広告と同じ規模でネイティブ広告を掲載する機会ができるようになったということです。ゼマンタのプラットフォームとアウトブレインのグローバルネットワークの融合により、マーケッターはデジタル上で真のブランディングを達成するための、新しいソリューションを手に入れたことになります。すなわち、付加価値の高いコンテンツをネイティブな形でユーザーに届け、同時にバナーやプレロールなどの中断的な体験には少なく投資できることを意味します。

ゼマンタ社 トッド・サウィッキ氏(以下トッド氏):ゼマンタとしては、我々の信念に基づいて「革命的なネイティブ広告がウェブにどのように役立つか」を考えた際に、アウトブレインという信頼できる会社を見つけられて非常にありがたく思っています。ネイティブ広告の基盤技術によって、パブリッシャーはユニークな広告エクスペリエンスをデザインできるようになります。また、マーケッターは、消費者と真のシームレスな方法で対話することができます。これからは、世界中のマーケッターがアウトブレインのグローバル規模を活用して、真の遮断性のない、かつ魅力的な方法で消費者とつながり、それぞれのキャンペーンを世界中のプラットフォーム上で拡大することができます。ブランドマーケティングは、常にストーリーテリングを消費者と結びつけることに関するものであり、ネイティブ広告はそれを可能にする最良の方法です。

 

Q2:ゼマンタとアウトブレインの関係はこれまでどのようなものだったのでしょうか?か? またその関係はこの買収により、どのように変わっていくのでしょうか?

ギラッド氏:アウトブレインはゼマンタとこれまで何年も協業しており、コンテンツマーケティングにおけるネイティブ広告スペース上でのプログラマティックな購入についてのビジョンを共有してきました。ゼマンタのプラットフォームは、リーチ可能なスケールと頻度を自動化するだけでなく、実際のエンゲージメントやアクション、コンバージョンをも最適化できるという点で非常にユニークです。それぞれのマーケッター、代理店、メディアバイヤーは、達成したい個別の戦略と目標を持っています。両社が買収によってより深い結びつきとなったことで、世界各地のネイティブエコシステム全体を成長させるのに役立ち、マーケッターはネイティブ広告費を拡大するさまざまな方法を選択することができます。

トッド氏:Native DSPの構築を開始したとき、アウトブレインはプログラマティックなプログラムに接続する最初の会社でした。そしてその後も現在まで、良好なビジネス関係は続いています。我々ゼマンタはアウトブレインと協業することを楽しみにしています。両社は文化的にもフィットしていますし、アウトブレインは素晴らしいテクノロジーを持つ国際的企業です。 ゼマンタはプログラマティックなネイティブ広告のために自己管理型のSaaSモデルを開発しました。 Googleのプラットフォームでは、代理店がクライアント向けにプログラムによるキャンペーンを実施するための新しいチャネルとフォーマットを提供しています。もはや古い型のディスプレイ広告だけではないのです。ゼマンタとアウトブレインが一つになることで、個々の会社でいるよりも、今掲げているビジョンをはるかに速く形にすることができます。

 

Q3:今回の買収はお客様にとって、今後どのように役立つのでしょうか?

ギラッド氏:今回の買収は、キャンペーンの需要を2、3カ月前から掘り起こすという目標のための第一歩です。実現した際は、独自のデータとテクノロジー・スタックを使用するのか、パーソナライズされたアルゴリズムと独自の関心グラフに基づくデータ・セットを使用するのかを、マーケッターは選択できるようになります。

トッド氏:ゼマンタのOne native DSPは、スケール、コントロール、可視性、使いやすさ、そして高度な自動化と最適化を提供します。今日、代理店やマーケッターは、どの媒体のどのプレースメントで、どのような価格で、そしてどのように自社の広告が見られているかを正確に管理・把握できることを期待しています。すなわちアウトブレインと他のすべてのネイティブSSPを単一のダッシュボード、一つのプラットフォームで管理できるようになることは、マーケッターにとっては大きなメリットといえます。

我々のプラットフォームに関する最も特筆すべき点の一つは、代理店やマーケッターがオートパイロット機能を用いてネイティブキャンペーンを拡張できることです。オートパイロット機能は実際には飛行機の自動操縦のように機能し、キャンペーンの開始(離陸)、最適化、そして終了(着陸)を自動的に処理できます。 GoogleとAdobe Analyticsとの統合により、我々はそのエンゲージメントデータを使用して、Googleのプラットフォームで実行されるキャンペーンを自動的に最適化することができます。アウトブレインとの統合により、そのシステムを世界中に拡大することができます。

 

Q4:アウトブレインとゼマンタはカルチャーの点でフィットするということですが、それは具体的にはどういうことでしょうか?

ギラッド氏:アウトブレインとゼマンタは指針(アウトブレインでは「ライトハウス(灯台)」)と呼んでいますが、「人々が素晴らしいコンテンツを見つけられるようにしたい」という強い価値観を共有しています。両社はともに技術革新を目指す文化を共有し、ユーザーエクスペリエンスに焦点を当てています。

トッド氏: ゼマンタには26人の社員がいます。そのうちの20人が製品とエンジニアリングを担当しています。私たちはプロダクトファーストの組織です。またここ数年のアウトブレインと協業から学んだように、アウトブレインは素晴らしいプロダクト・ビジョンと真に才能のある技術チームによって率いられています。両社は、優れた製品を市場に提供するという価値と重要性を、ともに理解しています。両社が共通している価値観によって、ユーザー、すなわち消費者とマーケッターがコンテンツを介して繋がることができるのです。

 

Q5:アドテック業界は現在どのように変化していますか? 今回の買収は、業界の変化に対してどのように対応しているといえますか?

ギラッド氏:現在新たな購買層となっているミレニアルズ世代は、一方的で遮断的な「プッシュ型」の広告を受け付けません。よって我々のような広告側としては、コンテンツを通じてメッセージを届け、ユーザーエクスペリエンスを体験してもらうという「プル型」のマーケティングが必要になっています。ネイティブ広告は単なる新しいタイプのプレースメントではなく、特にモバイル上で消費者と関わる機会が多くなるでしょう。マーケッターにとって、従来のインプレッションやPVに縛られるのではなく、ユーザーの真の興味・関心に触れることが可能になります。

また機械的な学習とコンテキスト信号を活用することで、プログラマティック・ネイティブ広告をユーザーとプレースメントの両方に合わせて調整することができ、マーケッターにとってはより優れたパフォーマンスが得られます。

トッド氏:プログラマティックなネイティブ広告の採用は、昨年末までに86%増加しました。「プログラマティック」であるがゆえに、ネイティブ広告本来の機能と確実性は担保されています。このようなプログラマティック・ネイティブ広告に関する話をマーケッターや代理店が聞くと、パブリッシャーが提供を開始したずっと初期の、手作業を含むネイティブ広告を思い出すかもしれません。ただ、これらの初期型ネイティブ広告は実際プログラマティックではあまりなく、拡張性も改善の余地が多くありました。

しかし、最新のプログラマティック・ネイティブ広告を推進しているのは、その根底にあるテクノロジーです。IABの標準ディスプレイ広告サイズに縛られる時代はもう終わります。これまでパブリッシャーが所有するスペースを提供すること、およびマーケッターが独自のユーザーエクスペリエンスを達成することを妨げていたのはスケールの問題だったのです。たしかにパブリッシャーにとって十分なユーザーにリーチすることは容易ではありません。しかし、プログラマティックなネイティブ広告では、クリエイティブはパブリッシャーのネイティブエクスペリエンスに合わせてタイムリーに調整されます。たとえそのパブリッシャーが1人のユーザーにしかアクセスされていないとしても、私たちのようなプラットフォームは、マーケッターのコンテンツをその広告と広告フォーマットに変換し、広告インプレッションを売買することができるのです。