「コトづくり Kotozukuri」とは?日産のコンテンツマーケティング活用術

日産はどのように「モノづくりにまつわる話」を優れたコンテンツマーケティングにしているのか?

 

日産自動車の日産グローバルメディアセンター編集長であるDan Sloan氏に、日産のコンテンツマーケティングの取り組みについて話をお聞きました。

 

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日産のグローバルメディアセンターは活動を開始してから5年目を迎えています。コンテンツマーケティングの近況ついてお聞かせいただけますか?

大小さまざまなコンテンツマーケティングのプロジェクトが目白押しで、最近では巨大フォークリフトや深海回遊ロボットといった、モニター技術を使った他企業や政府系代理店とのパートナーシップのライセンス契約などにも携わっています。代理店を越えた、コンテンツにおけるパートナーシップが増加しているのは業界全体のトレンドのように思われます。自動車メーカーとして、我々は新車やコンセプトカーに関連するストーリーを多く発信しています。2015年後半の上海と東京のモーターショー関連のコンテンツは欠かすことができません。また、2月にスーパーボールの広告クリエイティブで注目された、フロントエンジン・フロントドライブ(FF)方式による車種のデビュー戦になるル・マン24時間レースも見逃せません。これは革新的なレーシングコンセプトで、6月にフランスでいい結果がだせれば、ショールームへとつながるストーリーがより語りやすくなります。

 

 

 

日産はブランドのストーリーテリングを「コトづくり」、またはモノづくりの裏話と名づけました。伝統的な製造業にも何か類似点があるでしょうか。

もちろんです。「コトづくり」というフレーズはある執行役員が作ったもので、製造の目標到達プロセスとの類似性に注目したのです。

まず始めに製品計画と研究開発を行い、デザインと工場チームによるクリエイティブと組み立て工程があり、ロジスティックスとディーラーを通じた配送ネットワークによる拡販、マーケットインテリジェンスで消費者の動きを知り、そして、別の商品開発もしくは続投に向けたマーケット分析に基づいた改良を行うといったものです。

我々はコンテンツに関しても同じことをしています。まず計画をたてストーリーの流れを作る。詳細を練って、予算を組み編集する、そしてコンテンツのフォーマットや配信日、配信計画を決める。そして、利用率と消費者統計の分析に基づいて可能なら有料広告にて潜在的なオーディエンスにリーチする。何度も見直して再度実施する。「コンテンツ工場」は面白みのないモノを作って送り出すだけの作業に聞こえるかもしれませんが、我々は当初より量ではなく質にこだわるようにしています。

 

「良質なコンテンツ」というのはどう定義していますか?

共鳴できたり、ワクワク、ドキドキさせてくれたり、何かを教えてくれるものだと思います。聞き手にもよりますが、我々のメディアセンターにおいては大学の講義や公共テレビのようでは決してない、マルチメディアのストーリーテリングといえます。非常に魅力的なストーリーだったり、一定時間みてもらえたりシェアしてもらえるような何かです。我々はこれまでインフォテイメント(information(情報)+entertainment(娯楽))のアプローチによる高い視聴率を目の当たりにしました。さらに消費者やスタッフが、現地の言語でストーリーを語るといった“神の声”のようなニュースの読み上げでも大成功しました。ストーリー構成も重要です。最悪なのはコンテンツにつまらないインタビューを挿入することです。世界で最もおもしろい人物でさえも、相手にされないことが頻繁にあるということを肝に銘じるべきです。

 

初期のメディアセンターによるレポートは「ニュースリリース」のようだと言われていました。未だに、そのようなことはありますか?

元ジャーナリストが集まるチームはほとんど変わっていません。ただ、コンテンツは出来事について発信されることが減り、視覚的にインパクトのある方向に向かっています。我々のチームは自分達をマーケッター(グループ)とはいいません。しかし、消費者の声や認知を拡大することを目的にマーケティングと広報部門と必ず連携して動いています。クリエイティブのセンスを意識しながら、「それがどうした?」という伝統的なメディアの感覚を取り入れることは良いことだと思います。低コスト化する技術のおかげで、制作コストの減少がより進んでいくのは間違いありません。

 

どのようにコンテンツを拡散して、最大限活用していますか?

始めたばかりの頃は、オーディエンスを選んだり、エンゲージメントについて考えることなく、自分達で、手探りで発信していました。その後、パートナーの代理店やデジタルマーケティングチームの専門知識を取り入れて、我々が使うプラットフォームがより洗練させていくよう努力しました。もし、コンテンツの森で動画が制作されて、誰も見てくれなかったら、何の意味がありますか?

我々のオーディエンスはどんどん増えています。しかし、ストーリーがブランド作りにまで波及するためにも、我々の全ての知見や経験を生かして、さらにオーディエンスを増加できると期待しています。そのために、「コトづくり」を紹介するのに、伝統的なメディアやオンラインメディアに組み込んでもらうというのは素晴らしい方法です。もしコンテンツを気に入っていただけたら、ぜひ再訪いただければ嬉しいです。

 

Follow Dan on Twitter at @PlayingtoWiin

feature photo courtesy of i am dabe via flickr

(本内容は2015年4月22日投稿の人気記事を翻訳したものです)