“ユーザー目線”のコンテンツ作りにこだわる vol.1

【インタビュー】月間90万ページビューを誇るガシーレンカーのオウンドメディア『ニキペディア』成功の秘訣とは?

 

ガシー・レンカー様のデジタルマーケティングの取り組みについて、デジタルマーケティング部シニアマネージャーの藤原様に話をお聞きしました。

 

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左から アウトブレインジャパン社長 嶋瀬、ガシーレンカージャパン株式会社 デジタルマーケティング部シニアマネージャー 藤原 尚也 様

 

嶋瀬  はじめに、ガシー・レンカー様の会社概要を教えていただいてもよろしいでしょうか?

 

藤原様 ガシー・レンカーは、ニキビケアのプロアクティブ、ヘアケア商品、ファンデーションなどの化粧品を販売する会社です。本社はアメリカで、日本には2001年に参入し、ニキビケアの市場では、11年連続売上No.1です。ダイレクトマーケティングの会社で、販売のほとんどが電話とデジタルで展開しており、特にプロアクティブは、7割の販売がデジタルという状況です。

 

嶋瀬 7割がデジタルでの販売と言うと、ここ数年の中で、おそらくデジタルの使い方というのはだいぶ変わったのではと思いますが、ここ数年でどのようにデジタルマーケティング戦略は変わりましたでしょうか?

 

藤原様 一番大きな変化は、以前は番組から様々な情報を入手していた人達が、スマートフォンが出てきてからは、ネットで検索して情報を入手するという流れになったことです。

二つ目の変化は、テレビ自体の媒体力が落ちてきているというのがあって、昔はテレビにさえ流していれば何でも売れた時代でしたが、届けたいターゲットがテレビを見なくなり、デジタルにシフトしているという大きな市場の変化です。TVCMだけでは売上が落ちてきたため、デジタルの世界で情報を取得している人たちに、どのようにアプローチし、自社の商品を知ってもらい、購買につなげるかというデマンド・クリエーション分野のデジタルに力を入れるようになりました。

 

嶋瀬 オウンドメディアの『ニキペディア』は、日本のコンテンツマーケティングの中でも、非常に代表例になっていると思いますが、概要を教えて頂けますか?

 

藤原様 ニキペディアは「ニキビに悩む全ての方のためのニキビケア応援サイト」として、2014年の2月にスタートし、1年半以上経って、月間PVは90万を超えました。以前一度ミニブログを作ったことがありますが、なかなか普通にやっても訪問者数が増えず、もう一度サイト自身のコンセプトを見直し、ユーザー目線でコンテンツを作るというところに至りました。自社商品のことだけを言うだけではなく、競合の情報も含めた、本当にトータルでユーザー目線のサイトを作ることになったのが、とても大きな転換期でした。

 

嶋瀬 90万ページビューと、オウンドメディアで言うとすごい数字ですが、設定された目標やKPIは何でしたでしょうか?

 

藤原様 スタート時は、具体的な数字は作りませんでした。それよりも、ニキビに関連するキーワードが何千もある中から、ゴールデンキーワード約50を選定し、そのキーワードの検索のファーストビューに、必ずわれわれの情報があるという状態を作ることを目標、KPIにしました。

 

嶋瀬 いわゆる顧客との接点を、ちゃんとまずは作ろうというところがスタートだったんですね。

 

藤原様 はい。次第に順位が上がり、集客できることが分かったので、次のビジネスにつなげるというステージに進んだという状況です。現在はCPO(コスト・パー・オーダー)がKPIになっています。

 

嶋瀬 ある段階まで来たので、コンバージョンを意識し始めたということですね。コンテンツマーケティングは、潜在層を顕在化させることが目的ですが、御社の場合は、そこからさらに獲得までかなりうまくやられていると思います。

 

藤原様 もともとは、全然販売にはつながっていませんでした。人は来るけどなかなか売れないという状態が続いていました。それが変化した一つ目の大きなきっかけが、Outbrainのレコメンドウィジットをニキペディアに入れたことでした。ウィジットを入れてから、急にコンバージョンが上がり出したんです。つまり、記事を一つ読んで買ってくれるということではなくて、それに関連するいろいろな情報を見て納得して買うという、一つのルールを見つけたのです。 更に今取り組んでいるのは、リードを獲得しようとモニターキャンペーンを始めています。その施策により、さらにCPOが改善しています。

 

嶋瀬 Outbrainのレコメンデーションがきっかけでビジネスも伸びたというのは嬉しいかぎりです。さらなる展開へと、どんどん進化しているのもすばらしいですね。Outbrainは2014年の12月からご利用いただいていて、直近のレポートを見ると、Outbrainを使ったコンテンツ配信における記事のタイトルのランキングと、内部回遊におけるランキングのトップテンを比べると、入り口として入ってくるコンテンツ、いわゆる認知となるキーと、実際にもう1クリックで見ているコンテンツは全く違います。購買ファネルでいうと、入口が認知のコンテンツで、次のコンテンツが理解促進のコンテンツとなっていて、階層が下がっていっています。

人気コンテンツ

ここが結構、コンバージョンにつながるポイントになっているのではと思います。スターコンテンツから集客をして、コンバージョンにつなげるという流れについては、どうお考えですか。

 

藤原様 これは、我々が考えている顧客目線でコンテンツ作るということを、まさに数字が証明してくれています。ニキビで悩む人々が知りたいコンテンツをまず読むけれども、もう一回客観的にニキビや、ニキビケアについて自分から学習しているんです。ちょっと何か面白い記事があって読みにきただけではなく、内部回遊でクリックされているのは、どちらかというと知識系のコンテンツになります。これが上位にあるというのは、かなり大きいですね。 1位の「白ニキビ」もそうですし、2位のニキビの症状で「ニキビ跡」というのは、もともと検索頻度の高いキーワードで、狙って作った記事です。ターゲットの興味が高い記事をしっかり作ることで、お客さまが納得して買ってくれることにつながっているのだと思います。

 

嶋瀬 検索で上位ということは、当然顕在層だと思うのですが、潜在層をキャッチーな記事で呼び、ある程度そこでアウェアネスを高めた状態で、さらに顕在層向けの深いコンテンツを読ませているということですよね。

 

藤原様 そうです。

 

嶋瀬 Outbrainからの集客の新規率も昨年12月以来85%をずっと超えていますし、CTRも高いですね。レコメンドエンジンが、ニキペディアのコンテンツはこういうユーザーに合っているというのが、徐々に学習ができてきているのかなと感じています。長期的に運用いただいているメリットですね。

新規率

 

もう一つ興味深い数字があるのですが、レコメンデーションで実際に表示された中で何回クリックするかを見ると、平均で4回に1回、必ずもう1コンテンツをクリックしています。結構驚異的な数字ですよね。記事が短ければ、サッと1記事読んで次をクリックするのは分かるのですが、結構な分量を読んだ上でということですので。

 

藤原様 これはすごいですよね。ニキペディアの記事は、最低2000文字ありますから。

 

嶋瀬 当然コンテンツが良いと思ったからもう1コンテンツ、という形になっているのだと思います。

 

> vol.2 コンテンツ制作の体制とコツについて