ブランドマーケティングとパフォーマンスマーケティングの溝を埋めるには?

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「身長は何キロですか?」

こんな質問は、意味不明であることは分かっています。

しかし驚くことに、ブランドマーケティングとパフォーマンスマーケティングの担当者は、毎日、次のような異なる条件での比較で問題を抱えています。

・ブランドキャンペーンを一週間実施していますが、新規顧客は何人獲得できましたか?
・先週のブログ記事からの新規登録はどのくらいありましたか?
・このインフォグラフィクの直帰率は?

共通言語で話す

どうすればパフォーマンスマーケッターはブランディングについて話をする時にコンバージョンにフォーカスした質問を止めるようになるのか、そして、どうすればブランドマーケッターが、パフォーマンスマーケッターに集客のインパクトを理解してもらえるコミュニケーションを取ることができるのでしょうか?

当然ながら、どのようにトラフィックがコンバージョンに影響しているかを追跡することは、言うほど易しいことではありません。実際、マーケティング担当者が何に予算を割り当てるかを決める際に直面する困難な課題の一つとなっています。

個々のマーケティング施策の相互作用は、カスタマージャーニー(顧客の購入に至るまでのプロセス)全体を通じてもたらされる価値を理解することが重要です。

多くのマーケッターは、コストの高いクロスチャネル・アトリビューション(間接効果)とメディアミックスを活用していますが、施策間の効果は、集客効果と適切に結びつけられていないという問題があります。

理由は簡単、時間です。

ユーザーがコンテンツを発見し、最初にエンゲージしてからコンバージョンに移るまでにかかる時間は市場により異なりますが、アウトブレインで測定した結果では、平均6日〜30日と大きく分散しています。

もしマーケッターが、データを元にしてリアルタイムに予算の振り分けを決めたいのなら、コンバージョンが一番見込めるタイミングで測るのは現実的とは言えないでしょう。トラフィックの入り口とコンバージョンにつながりがないことは、消費者が最初にそのブランドに接触することに貢献するチャネルやコンテンツではなく、ラストクリックを重視した予算の決定につながります。

ブランドの予算は、PVや動画視聴数、平均滞在時間、スクロールの深さ、そしてSNSのシェアがマネタイズとの直接的因果関係が乏しいため、重要な成長要因とは見られていないこともあります。

つまりこのことは、本当の数字よりもスタッフの考えが主導となっているマーケティング部の内部分裂につながってしまうのです。

米国Outbrainの事例

Outbrainでは、新規顧客獲得の際に、同じような社内の課題に直面したことがありました。そして、リアルタイムで私たちのコンテンツマーケティング活動の価値を評価するかもしれない一つのシンプルな問いを解決することに着手したのです。

「エンゲージしたユーザーの将来のコンバージョンはどうなるのか?」

この問いの答えを見つけるために、私たちは次のことを実行しました。

1. 私たちが持つそれぞれのコンテンツにとってのエンゲージメントの意味を定義する
2. ユーザーをエンゲージしたユーザーとエンゲージしていないユーザーとに分ける
3. 購買ファネルの下部にあたるコンテンツによってこれら2グループを分け、それぞれのパフォーマンスを測る

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そして、コンテンツごとのエンゲージメントを測定するために、それぞれのコンテンツの訪問者に関して次の3つの数値を確認できるタグを埋め込んで計測ました。

1. 平均滞在時間
2. スクロールの深さ
3. 1セッション中のPV

ユーザーがこれら3つの指標全てにおいて最低エンゲージメントレベルに達した場合、エンゲージメントピクセルが発火。このエンゲージメントピクセルが引き金となり、FacebookとOutbrain Amplify カスタムオーディエンスでピクセルを発火させ、エンゲージしたユーザーとエンゲージしていないユーザーをグループ分けして、コンテンツで同時にリターゲティングしました。コンテンツのターゲットペルソナの一つは、「コンテンツマーケティングを始めたいマーケッター」でしたので、「コンテンツマーケティングを理解し実行する4つの簡単な方法」という記事に誘導したのです。

結果

驚くことに、エンゲージしたユーザーだけをターゲットにしたキャンペーンは、エンゲージしていないユーザーをターゲットにしたキャンペーンよりも、CPAを50%も低く抑えることができました。この大きなコストの差により、さらに高いエンゲージメントを獲得できるコンテンツの制作が可能になりました。肝心なのは、素晴らしいコンテンツなのです。

エンゲージしたユーザーの想定値を明確にできるようになったので、私たちの全ての集客キャンペーンの想定CPAを明確にすることがリアルタイムで可能となり、全体の目標CPAを達成するために適切にコストとCPCを調整することができます。

またエンゲージしているユーザーをターゲットにしたことで、CPL(Cost Per Lead=見込み客獲得単価)は28%抑えられ、CTRは52%アップし、SNSアクティビティは55%向上、そして平均滞在時間も63%も向上しました。

共通言語

私たちの戦略部門シニア・バイス・プレジデントであるギラッド・デ・ブリエスは、2016年コンテンツマーティングの最も重要な5つのトレンドの中で、CPEの重要性が増していることに言及しました。今では、ブランド、コンテンツ、パフォーマンスのそれぞれのマーケッターは、共通言語を持ち話しをすることが可能になっています。その共通言語には以下の2つがあります。

1、CPE
2、想定CPA

よりエンゲージメントが高くなるということはCPEが低くなり、想定CPAも低く抑えることができます。共通言語に注力することで、目標CPAを達成すると同時に、素晴らしいコンテンツ体験も実現することができるのです。

社内の全てのマーケッターは共通言語で同じ認識を持つ時がやってきました。社内のブランドマーケッターとパフォーマンスマーケッターは、エンゲージしているユーザーの価値を測ることで協力し合うようにしましょう。そして、ディスカバリーからコンバージョンにいたるまでを最適化し、カスタマージャーニー全体を通じたコストを意識しましょう。