PV至上主義から脱却する、メディア運営のゲームチェンジャー:「オートマティック イールド」の革新性

(本記事は、DIGIDAY[日本版]からの転載となります)

 

メディア運営における収益モデルは、広告収益をはじめ、ECなどの販売収益、課金収益、データ、クリエイティブ、手数料収益など多様化してきました。とはいえ、まだまだ広告収益はパブリッシャーにとって重要な収益モデルのひとつです。

 

しかし、分散型メディア時代の到来および加速化するモバイルシフト、プログラマティック収益の増大などに伴い「PV数が増えても必ずしも広告収益が上がらない」という課題に直面するパブリッシャーは多いのではないでしょうか。そこで本記事では、「収益起点」でメディア運営を考えるためのヒントをご紹介したいと思います。

 

PVからエンゲージメントへ

 

これまでメディアが広告収益を上げていくためのプロセスは、「コンテンツ」「ディストリビューション」「ページビュー(PV)」「レベニュー」の順番でした。つまり、コンテンツを作り、分散型でディストリビューションを行い、PVを集め、広告収益を上げるという構図です。

 

このプロセスにおいては、「広告収益の向上=PVの増加」となるため、「PVをいかに増やすか」がもっとも重要な指標となります。しかし、PVの量ばかりが重視されると、いわゆる「引きの強さを意識した」記事ばかりになってしまい、メディアの「質」の低下およびコモディティー化につながるという懸念がありました。
昨今、「PV至上主義からの脱却」という話がよく聞かれます。これは、広告主がPVよりエンゲージメントを重視するようになったということです。PVは多いものの、直帰率が高くエンゲージメントの低いユーザーを抱えるメディアよりも、しっかりと情報を深掘りしてくれる「質」の高いユーザーを囲い込めているメディアが評価されているのです。

 

すなわち、現代におけるメディアの広告収益を上げるプロセスは、これまでとはまったく逆。「レベニューに寄与する高価値なPV」「高価値なPVを生み出すエンゲージメントの高い優良ユーザー」「優良ユーザーのためのコンテンツの量産」といった順番に考えるべきなのです。

 

メディアを取り巻く課題の正体

 

メディアの使命は、言うまでもなく「優良なコンテンツを作って、メディアブランドを確立して高付加価値ユーザーを引きつけること」にあります。一方で、営利事業である以上、「収益」の観点も当然のことながら重要となります。ですが、いままでは、どのページ、どのコンテンツ、どのユーザーが、広告収益に貢献しているかが可視化されていなかったため、「質」と「収益」は個別に議論されていたように思います。

 

「売上に貢献するトラフィックソースは?」「売上に貢献するコンテンツは?」「動画とテキストベースの記事ではどちらの収益性が高いか?」といったことが見えない、分析できない……。だから、全体の来訪者数を増やす、コンテンツの品揃えを増やすという、メディア運営が「数の追求」になっていたのです。

 

そして、PV至上主義が進んだ結果、メディアのブランディングが崩れてしまう。これが、昨今のメディアを取り巻く課題の正体ではないでしょうか。

収益起点のメディア運営

 

そこで、広告収益を起点にしたメディア運営を可能にする技術が、「Outbrain オートマティック イールド」です。2017年3月正式リリースのサービスで、メディア運営のあり方を根本的に変える可能性を秘めた技術です。

 

これまでも「どの流入元が、どのコンテンツが、もっとも広告収益に貢献したか」ということは、見ようと思えばできたかもしれません。しかし、分析にかかる労力と時間を考えると、そのデータを活かしたメディア運用は困難でした。

 

それを可能にするのが「Outbrain オートマティック イールド」です。Googleの広告配信サーバー「DFP(DoubleClick for Publishers)」のデータをリアルタイムに分析し、各ページの収益性をひと目で確認できるのです。どのチャネルから送客された、どのお客様が収益につながっているかということや、記事単位での収益性が可視化できます。パブリッシャーは、はじめてコンテンツの「質」と「収益」の相関性を示すデータを手に入れるのです。

 

もたらされる3つの価値

 

「Outbrain オートマティック イールド」は、パブリッシャーに対して、(1)収益の可視化、(2)収益の最適化、(3)ユーザーの拡張という3つの価値をもたらすことが可能です。個別に深掘りしていきましょう。

 

(1)収益の可視化:「トータルバリューレポート」というダッシュボードを提供します。

 

これまでメディアにとってリアルタイムでの分析が困難であった「コンテンツ単位での収益性」および「流入元単位での収益性」が可視化できます。これにより、たとえば「うちでは旅行系のコンテンツは収益性が高く、動画広告が効き、キュレーションとの相性が良い」といったようなことがわかれば、「旅行系コンテンツを拡充する」「ページデザインを動画広告に最適化する」「キュレーションへの出稿を寄せる」といったような収益改善のアクションがとれます。

PVだけに捉われることなく、収益にもつながるコンテンツが何か、分散型で外部にディストリビューションしていくべきコンテンツが何かといったことが、収益性の観点から明らかになるのです。

「トータルバリューレポート」のダッシュボード画面

 

 
(2)収益の最適化:従来、内部回遊のレコメンド枠に表示されるコンテンツは、訪問ユーザーの興味関心に基づき、クリックする可能性の高い順で表示していましたが、広告の収益性というレイヤーを重ねることが可能になります。これにより、ユーザーの興味関心に加え、収益性の高い記事をレコメンデーションすることが可能になります。

 

国内外の実証実験では、この収益の自動最適化機能により、アウトブレインが内部回遊で送客しているトラフィックの広告収益が30-110%純増しました。

 

多くのパブリッシャーは、すでに運用リソースが逼迫しており、負荷が上がる施策の導入は難しいと思いますが、「Outbrain オートマティック イールド」は、すでにアウトブレインのシステムを利用しているパブリッシャーであれば、機能をオンにするだけで利用可能です。メディア側のレイアウトを変える必要はなく、運用も自動的に行われます。

 

(3)ユーザーの拡張:ページの収益性が可視化されれば、コスト負担なくユーザーやタイアップ広告在庫を拡張することも可能です。たとえば、あらかじめ定めたRPMのしきい値を超えた収益の高いページのみ、自動的にアウトブレインがトラフィックを買い付けに行き、ページの収益がしきい値を下回ったときに、買い付けを終了する、といったことも可能になります。
スポンサー買い切り型の広告商品企画における特定ジャンル在庫の拡張など、さまざまな利用シーンが想定されますが、PV組成の大部分を外部に依存している分散型メディア時代において、メディア自らが意識的にPV形成をできる画期的なソリューションです。

 

ゲームチェンジを起こすサービス

 

「Outbrain オートマティック イールド」は、SaaS形式で提供され、利用料金はCPMベースの従量課金で算定されます。実際の利用料金は、広告収益の増加分と相殺され、実質負担はないと考えています。いまのところ、広告配信サーバーにDFPを使っていることが利用の条件ですが、アウトブレインを使っていればすぐに利用できること、また自動で収益の最適化およびユーザー獲得を図れる点で、インパクトの大きなサービスといえます。

 

そして「質」と「収益」の関係を可視化することで、パブリッシャーははじめて「PV至上主義」の呪縛から解放されることとなり、事業採算性を損なうことなく、「PVを稼ぐコンテンツ作り」から「メディアブランドを創るコンテンツ作り」にシフトすることが可能となります。

 

「Outbrainオートマティック イールド」は、これからもパブリッシャーのニーズに合わせて進化を続けていきますが、パブリッシャーにとっては、メディア価値の再定義ならびにメディア運営を根本的に変化させるゲームチェンジを起こすサービスとなるはずです。